2026/10/09 解決事例・コラム
管理業者管理者方式の標準契約書とは
国土交通省は、管理業者管理者方式を採用するマンションに向けて、「マンション標準管理者事務委託契約書」を新たに策定するとともに、「マンション標準管理委託契約書」および「マンション標準管理規約(書き換え表)」を改正・策定しました。背景にあるのは、本年4月1日に施行された改正マンション管理適正化法(区分所有法等の改正とあわせて成立した、いわゆる新マンション管理法)です。管理組合の役員のなり手不足を背景に広がってきた管理業者管理者方式について、利益相反防止の観点から新たなルールが設けられており、今回の標準書式はこの新ルールに対応した実務上のひな形として位置づけられます。
1 管理業者管理者方式とは
管理業者管理者方式とは、マンションの管理業務を受託している管理業者自身が、区分所有法上の「管理者」の地位を兼ねて管理組合の運営に当たる方式です。マンションの高経年化や区分所有者の高齢化が進むなかで、管理組合の役員のなり手不足に対応する手段として採用が増えてきました。もっとも、管理業者が発注者と受注者の両方の立場を兼ねることになるため、利益相反が生じやすいという課題が指摘されてきました。今回の法改正と標準書式の整備は、この課題に対応するものです。
2 改正法で設けられた主なルール
新マンション管理法のもとでは、管理業者管理者方式を採用する場合、契約締結前に管理業務主任者が区分所有者全員に対して重要事項説明会を開催すること、契約成立時に区分所有者全員へ契約書面を交付すること、契約後も定期的に説明会を開いて管理事務の状況を報告することが求められます。また、親会社・子会社など管理業者と密接な関係を有する者との取引については、あらかじめ説明会を開いて重要な事実を開示することが必要です(災害等のやむを得ない事由がある場合を除きます)。
契約締結前に、管理業務主任者が区分所有者全員に対して重要事項説明会を開催します。
契約成立時に、区分所有者全員へ契約書面を交付します。
契約後も定期的に説明会を開催し、管理事務の状況を報告します。
親会社・子会社など管理業者と密接な関係を有する者との取引について、事前に説明会を開催し、重要な事実を開示します。
これらの規定に違反した場合、国土交通大臣は1年以内の期間を定めて業務の全部または一部の停止を命じることができるとされています。
3 今回策定・改正された3つの標準書式
今回の対応では、まず「マンション標準管理者事務委託契約書」が新たに策定されました。これは、管理業者管理者方式を採用する場合における管理者事務委託契約のひな形です。あわせて、従来からある「マンション標準管理委託契約書」が、管理業者管理者方式に対応する内容へと改正されました。さらに、管理業者管理者方式を採用した場合の規約整備のため、「マンション標準管理規約(書き換え表)」が策定されています。これは管理者の選任・退任・辞任・解任時の取扱いなど、管理規約に反映すべき事項を書き換え表の形で示すものです。
4 管理組合・管理業者が確認しておきたいポイント
既に管理業者管理者方式を採用している管理組合や管理業者にとっては、現行の契約内容が新様式の考え方に沿ったものになっているかを確認することがまず重要です。ただし、施行日より前に締結された契約が直ちに無効になるものではないため、次回の契約更新のタイミングで見直しを検討するのが現実的です。また、これから管理業者管理者方式の導入を検討している管理組合においては、重要事項説明会の実施や利益相反取引の開示体制をあらかじめ整えておくことが、新ルールへの円滑な対応につながります。
まとめ
管理業者管理者方式は、役員のなり手不足という管理組合の実情に即した仕組みである一方、利益相反のリスクを伴うため、今回の法改正・標準書式の整備によって透明性を高めるルールが設けられました。契約内容や説明体制に不安がある場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。

