2026/06/18 解決事例・コラム
相続財産はどこへ帰属する?ー種類別に図で整理
相続財産はどこへ帰属するか――財産の種類別に図で整理
相続が始まると、財産は自動的に相続人に引き継がれます。ただし「全員で共有」「各自に分割」「相続対象外」と、財産の種類によって行き先が異なります。預貯金が「勝手に引き出せない」のにも理由があります。この記事では、図を使って財産ごとの帰属先をひと目でわかるように整理します。
1 財産の帰属先は4種類
民法898条1項民法898条1項は「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する」と定めますが、財産の性質によって扱いは分かれます。まず全体像を図で確認してください。
対象外
対象外
共有
共有
共有
帰属
帰属
2 相続対象外の財産
「一身専属権」と「祭祀財産」は、はじめから相続財産に含まれません。遺産目録を作成する際、混入しないよう注意が必要です。
親権、扶養請求権・義務、
個人の技能・信用に基づく債務
(例:特定の画家への絵の依頼)
墓地・仏壇・仏具・位牌など
原則として祭祀主宰者が承継
(法定相続分とは無関係)
3 遺産共有になる財産
動産・不動産・現金・預貯金は遺産共有となり、相続人全員で持分を持ちます。単独では分割できないことが共通のポイントです。
動産・不動産・現金
相続開始と同時に自動的に共有状態になります(民法898条1項)。各相続人は法定相続分の「持分権」を取得し、自分の持分を売却することは理論上可能ですが、実際の分割は遺産分割協議または家庭裁判所の審判によります。
預貯金――「可分」なのに共有扱いの理由
預貯金債権は性質上「可分債権」ですが、判例上は遺産共有財産として扱われ、遺産分割によらなければ払戻しを請求できません。公平な遺産分割の調整弁として機能させるためです。
4 当然に分割される財産(分割帰属)
可分債権・可分債務は相続開始と同時に法定相続分に応じて自動的に分割されます。遺産分割の対象ではありません。
売買代金債権・貸金債権・不動産賃料債権などは、民法264条但書・427条に基づき、法定相続分に応じてそれぞれの相続人に当然分割されます。遺産分割協議を経ずに請求できます。
被相続人の借金(貸金債務・売買代金債務など)も可分であれば法定相続分に応じて分割帰属します。ただし、相続放棄をすれば承継を免れます。相続放棄の期間(原則3か月)に注意が必要です。
連帯特約付きの債務であっても、性質上「可分」であれば民法427条により分割帰属します。連帯保証債務を相続した場合は早期に弁護士への相談をお勧めします。
5 よくある質問
預貯金は遺産分割なしに引き出せますか?
原則として引き出せません。預貯金は判例上、遺産共有財産として扱われ、遺産分割によらなければ払戻しを請求できません。ただし民法909条の2の払戻し制度を使えば、一定額を単独で引き出すことができます。
被相続人の借金(債務)も相続されますか?
はい。可分債務(貸金債務・売買代金債務など)は法定相続分に応じて当然に分割帰属します。相続放棄をしない限り、各相続人が法定相続分の割合で債務を承継することになります。
現金と預貯金で扱いは違いますか?
結論は同じです。現金は動産として遺産共有となり(民法898条1項)、預貯金も判例により遺産共有扱いとなります。どちらも遺産分割によらなければ分割・払戻しを求めることはできません。

