解決事例・コラム

2026/03/27 解決事例・コラム

後遺障害7級の症状と認定基準は?申請の流れ・慰謝料相場を弁護士が解説

後遺障害7級の症状と認定基準は?申請の流れ・慰謝料相場を弁護士が解説

最終更新日:令和8年2月12日 交通事故

後遺障害7級とは、交通事故によって残った後遺障害が、自賠責保険において第7級に該当すると判断された場合をいいます。後遺障害7級は、仕事や日常生活に大きな影響を及ぼし得る等級です。慰謝料・逸失利益を合わせた賠償総額が1,000万円を超えるケースも珍しくありません。認定基準(1号〜13号)・慰謝料の算定方法・申請の流れと失敗しないポイントを弁護士が詳しく解説します。

1 後遺障害7級とは?日常生活や仕事への影響

交通事故の後遺症について「どの程度の障害が残ったか」を段階評価するのが後遺障害等級です。等級は要介護1・2級と1〜14級の計16段階で整理され、審査は第三者機関が行います。後遺障害7級は、視力・聴力の障害、四肢の欠損・機能障害、神経・精神の障害、外貌醜状など対象が幅広いのが特徴です。

労働能力喪失率は56%とされ、仕事や日常生活への影響が大きいと評価されます。そのため、慰謝料や逸失利益を含めた賠償額が1,000万円を超えるケースも十分にあり得ます。

7級の主な特徴

  • 認定類型は1号〜13号まで幅広い(視力・聴力・四肢・神経・外貌など)
  • 労働能力喪失率は56%と定められている
  • 弁護士基準の後遺障害慰謝料は約1,000万円が目安とされることが多い
  • 逸失利益・将来費用を含めると賠償総額が高額になることがある

2 後遺障害7級の具体的な症状と認定基準(1号〜13号)

後遺障害7級には、症状ごとに1号から13号までの認定基準があります。「自分は何号に当たりそうか」を把握することが、等級認定の第一歩です。なお、後遺障害の審査は「基本的に書面中心」です。診断書に要件を満たす情報が書かれているか、検査結果が揃っているかが重要になります。

以下では、第7級の各号をご紹介します。ここでの説明は、公式の等級表および実務上よく問題となる判断要素を踏まえて整理したものです。なお、後遺障害等級認定は、診断書、画像、各種検査結果等の資料に基づいて個別に判断されるため、実際にご自身がどの等級に該当するかについては、専門家にご相談ください。

1号
視力
片目失明+他眼の視力が0.6以下
視力は矯正視力(眼鏡・コンタクト装着時)で判断します。失明とは眼球亡失、明暗完全不明または明暗を辛うじて弁ずることができる程度の状態です。他眼が0.06以下なら3級、0.1以下なら5級に該当する可能性もあります。視力検査が古い・測定条件が不明確な場合は資料の整え方で問題が生じやすいため注意が必要です。
2号
聴力
両耳が重度難聴
40cm以上の距離では普通の話声を理解できない状態です。両耳の平均純音聴力レベルが70dB以上、または50dB以上で最高明瞭度が一定水準以下であることが目安です。70dBはセミの鳴き声相当で「大きい音はわかっても会話が難しい」レベルです。
3号
聴力
片耳の聴力喪失+他耳の難聴
片耳90dB以上かつ他耳60dB以上などの数値要件が判断上重要になります。会話が聞き取りにくく外出・仕事・家庭内でも支障が出やすい類型です。
4号
神経・精神
神経系統・精神障害で就労制限
軽易な労務以外に服することができない状態。高次脳機能障害(記憶・注意・段取り・対人面の障害)や脳挫傷・脊髄損傷による麻痺が代表例です。外見で分かりづらく、家族が「事故前後で何が変わったか」を具体的なエピソードで記録することが等級を左右します。
5号
臓器
胸腹部臓器障害で就労制限
呼吸器・循環器・消化器・泌尿器の障害により軽い仕事以外が難しい状態。「検査結果」と「生活・就労上の支障」が結びついて説明できることがポイントです。
6号
手指
親指含む3指喪失 / 4指喪失
切断の位置(どの関節より根元か)が重要です。診断書に切断関節が明記されていないと審査に正確に伝わりません。利き手・右左は等級認定に影響しません。
7号
手指
多指の用を廃した
指が残っていても機能が著しく失われた状態。末節骨1/2以上喪失・可動域が健側1/2以下・感覚完全麻痺のいずれかが該当。可動域の数値と感覚検査が鍵になります。
8号
足部
片足をリスフラン関節以上で喪失
リスフラン関節(足指の骨と足の甲の骨の間)以上で失った状態。かかと歩行が困難になり、義足・装具・生活環境の調整が必要になることが多いです。
9号
上肢
片腕に偽関節+著しい運動障害
骨折後に骨がくっつかず偽関節化した状態。「著しい運動障害」とは硬性補装具の常時固定が必要な状態を指します。常時固定が不要なら8級となることがあります。
10号
下肢
片足に偽関節+著しい運動障害
大腿骨・脛骨(腓骨含む)の偽関節で硬性補装具の常時固定が必要な場合が対象。常時固定が不要な偽関節は8級となることがあります。
11号
足指
両足全指の用を廃した
中足指節関節または第1関節に著しい運動障害を残す状態。歩行バランス・転倒リスクが大きくなりやすく、靴の選択も困難になる類型です。
12号
外貌
頭・顔・首に著しい醜状
顔面では鶏卵大以上の瘢痕・10円硬貨大以上の組織陥没などが目安。面接調査があり男女差なし。写真・医療記録・対人対応の困難さを具体的に示すことがポイントです。
13号
生殖
両側の睾丸を喪失
生殖機能の喪失として7級。片側の喪失は13級に整理されます。睾丸が残っても精子がない状態等の準用が問題になることもあります。

後遺障害等級の内容は国土交通省の「後遺障害等級表」で確認できます。

3 複数の後遺症がある場合は「併合7級」に認定され得る

異なる後遺障害が複数あるとき、併合という形で等級がより重くなることがあります。たとえば、脊柱の運動障害(8級2号)と醜状障害(12級14号)で併合7級となる例が挙げられます。ただし、症状が複数でも「1つの後遺障害」といえる場合は併合にならないこともあります。

併合が絡むと賠償額に直結するため、等級の整理は弁護士に一度確認する価値があります。

併合認定のポイント

  • 異なる部位・症状に複数の後遺障害がある場合に適用される
  • 等級の繰り上がりルールにより、単独より重い等級が認定されることがある
  • ただし同一の後遺障害として扱われる場合は併合不適用
  • 等級・賠償額への影響が大きいため、弁護士への確認を推奨

4 後遺障害7級の慰謝料相場(自賠責基準と弁護士基準の差)

後遺障害7級に認定されると、治療費や休業損害とは別に、後遺障害慰謝料と入通院慰謝料を請求できます。ここで極めて重要なのが、計算に用いる基準によって金額が大きく変わるという点です。

交通事故の賠償では、①自賠責基準(国の制度としての最低限の補償)、②任意保険基準(各保険会社の内部基準・非公開)、③弁護士基準(裁判実務で用いられる水準)の3つの基準が存在します。保険会社提示額が弁護士基準を下回ることは少なくありません。

自賠責基準 弁護士基準(目安)
後遺障害慰謝料(7級) 419万円 1,000万円
差額 約581万円の差

上の例では、弁護士基準で見直すだけで、後遺障害慰謝料が約2.4倍になり、金額にして約581万円の差が生じました。7級では逸失利益・将来費用など他の項目も大きくなりやすいため、総額の差はさらに広がり得ます。
なお、ここでいう弁護士基準は、『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』(日弁連交通事故センター東京支部編)等を参考にした裁判実務上の目安であり、常に一律の金額になるものではありません。実際の賠償額は、事故態様、症状固定時の内容、就労状況その他の個別事情によって異なるため、具体的な見通しについては専門家にご相談ください。

入通院慰謝料の計算方法

入通院慰謝料は、けがの痛みや治療の苦痛に対する慰謝料です。弁護士基準では、重傷用の算定表などを用いて、入院期間と通院期間に基づいて金額の目安を算出します。例えば、骨折等で入院1か月・その後4か月通院した場合、目安は115万円です。通院期間が長くなるほど差も拡大しやすいので、「治療の見通し」と「示談のタイミング」は早めに弁護士に相談して設計する価値があります。

慰謝料算定の重要ポイント

  • 自賠責基準(419万円)と弁護士基準(1,000万円)で約2.4倍・約581万円の差
  • 保険会社の最初の提示額は低いことが多い
  • 示談書にサインする前に、弁護士に増額の可能性を確認するのが安全
  • 入通院慰謝料は入院・通院の期間によって別途加算される

5 慰謝料以外に請求できる賠償金の項目

逸失利益
7級=労働能力喪失率56%
基礎収入 × 56% × 喪失期間係数
例:年収500万円で労働能力喪失期間が17年と認定された場合 
  500万 × 0.56 × 13.1661 ≒ 約3,686万円

⚠ 外貌醜状(12号)では「仕事への影響なし」として保険会社側によって逸失利益を否定・縮小されることがあります。職種(対人業務か)・転職の不利・心理的影響を具体的に積み上げて主張することが必要です。

休業損害
治療・通院で働けず収入が減った場合の補償。会社員・自営業・家事従事者も対象。休業証明・給与資料・確定申告書を早めに整理しておくと交渉が安定します。
治療費・交通費・装具費
実費算定。義足・補聴器・コルセット等の装具費、付添看護費(医師指示がある場合)も含みます。
将来治療費・将来介護費
継続的に必要となる将来費用。必要性が争点になりやすいため、早期に見通しを立てることが重要です。

6 後遺障害7級の賠償金総額の目安

後遺障害7級は、後遺障害慰謝料と逸失利益が大きくなりやすく、賠償金の総額が高額になりがちです。以下のモデルで金額の規模感が掴めます。

賠償金 金額(弁護士基準の目安)
後遺障害慰謝料 1,000万円
入通院慰謝料(例:入院1か月+通院4か月) 115万円
逸失利益 年収×56%×喪失期間係数
休業損害・治療費・交通費・装具費など 実費に基づき算定

7級では、慰謝料の差(自賠責と弁護士基準)に加えて、逸失利益・将来費用の有無で総額が大きく動きます。つまり、等級認定や算定基準を誤ると「損する金額」も大きくなりやすい領域です。示談前に一度、弁護士に見通しを確認することが重要です。

7 事故後から賠償金請求までの流れ

後遺障害7級の認定・賠償金の回収までには、複数のステップがあります。それぞれで対応を誤ると、等級や金額に不利な影響が出ることがあります。

1

症状固定の診断を受ける

医師の指示に従って通院を続けます。自己判断で通院を中断したり、1か月以上空いたりすると治療費打ち切りや後遺障害の非該当につながるリスクがあります。改善が見込めなくなった段階で「症状固定」と診断されます。

医療機関
2

後遺障害診断書の作成

審査は原則書面中心です。自覚症状(痛み・しびれ・見えにくさ等)の具体的な記載と、他覚所見(レントゲン・MRI・可動域・聴力検査等)が漏れなく記載されているかが重要です。記載が不十分と思われる場合は弁護士を通じて医師に補足を依頼することも検討します。

医療機関 弁護士
3

後遺障害等級認定の申請

申請方法は「事前認定(相手方保険会社に委ねる)」と「被害者請求(被害者側で資料を揃えて提出)」の2つです。7級のように重い等級が視野に入る場合、資料を精査して提出すべき事案もあり、被害者請求を検討する実益があります。

保険会社 弁護士
4

示談交渉

等級が出たら、慰謝料・逸失利益・過失割合などを巡って示談交渉に入ります。保険会社の提示額は低いことが多く、基準の違いで数百万〜1,000万円単位の差が出ることもあります。示談書にサインする前に、増額の可能性を弁護士に確認するのが安全です。

保険会社 弁護士
5

ADR・訴訟(示談が成立しない場合)

示談がまとまらない場合、交通事故紛争処理センター等のADRや訴訟を検討します。ADRは比較的早期に結論が出ることもありますが、争点が大きい場合は訴訟が適することもあります。どれを選ぶかは「争点の種類」と「証拠の揃い方」を踏まえて判断することになります。

弁護士 裁判所

8 後遺障害7級の認定を受けるためのポイント

1 症状固定まで通院を継続する

適正な等級認定を受けるための大前提です。通院が途切れると症状の一貫性が説明しづらくなり、「治っている」「治療不要」と見られるリスクが高まります。

× 避けたい

自己判断で通院を中断・1か月以上間隔が空く

○ 望ましい

医師の指示に従い、症状固定の診断まで治療を継続

2 診断書の記載が認定基準を満たしているか確認する

審査は書面中心のため、診断書の記載内容が結果を左右します。記載が抽象的だと、症状が重くても要件を満たす形で伝わらず、別等級や非該当になることがあります。

× 避けたい

「痛みが続いている」「目が悪くなった」などの抽象的な記述

○ 望ましい

視力・聴力・可動域・感覚の数値の提示、装具の常時固定の要否

対応
記載が不十分と思われる場合は、弁護士を通じて医師に補足を依頼することも検討します。
3 高次脳機能障害は検査と家族の記録が鍵になる

高次脳機能障害は外見で分かりにくく、審査で伝わりにくい類型です。脳外傷を示す画像診断に加え、認知障害を裏付ける所見と、人格変化がうかがえる日常生活状況の記録が重要になります。

× 避けたい

「なんとなく変わった」「前より怒りっぽくなった」などの漠然とした記述

○ 望ましい

事故前後の具体的なエピソード(仕事・日常・対人関係の変化)

ポイント
家族に日常生活状況の記録を作成してもらうことで、具体的な変化を示すことができます。
4 被害者請求で申請する

申請方法は「事前認定」と「被害者請求」の2種類。7級のように重い等級が視野に入る場合、資料を精査して提出できる被害者請求を検討する価値があります。

事前認定

手続きは簡便だが、資料の出し方を保険会社側に委ねることになる

被害者請求

手間はかかるが、自分で資料を揃えられるため「言いたいことが伝わる形」で提出できる

5 早期に弁護士に依頼する

早期に弁護士が入ることで、複数の場面でサポートを受けられます。

弁護士が関与できる主な場面
診断書の内容チェック 医師とのコミュニケーション整理 被害者請求書類の作成 異議申立ての準備 弁護士基準での賠償金算定 外貌醜状の面接調査への立会い
費用
弁護士費用特約が使える場合は、費用負担を抑えて依頼できることがあります。

9 賠償金以外に受けられる公的支援

後遺障害7級が見込まれるほど重い後遺症が残った場合には、損害賠償とは別に、公的制度の対象となることがあります。代表的なものとしては、障害年金や労災保険が挙げられます。

まず、事故が業務中または通勤中に発生したものであれば、労災保険の給付対象となる可能性があります。損害賠償と重なる部分もありますが、両者は別の制度であるため、「賠償金だけ確認して終わり」とせず、公的給付の対象になるかどうかもあわせて検討することが重要です。

また、後遺症の内容や程度によっては、障害年金(国民年金・厚生年金)の対象となる可能性もあります。もっとも、いずれの制度も、実際に受給できるかどうかは、法令上の要件を満たすか、必要な診断書や資料を適切に準備できるかによって結論が変わります。

なお、自賠責の後遺障害等級と、障害年金や労災保険における認定基準は同一ではありません。そのため、自賠責で後遺障害7級に該当したからといって、当然に障害年金や労災保険でも同程度の認定がされるとは限りません。後遺症によって生活や就労に大きな影響が生じている場合には、損害賠償と並行して、公的支援の利用可能性についても確認しておくとよいでしょう。

障害年金の認定基準は日本年金機構の公式サイト(www.nenkin.go.jp)で確認できます。労災保険の給付については厚生労働省の公式サイト(www.mhlw.go.jp)をご参照ください。

10 よくある質問(FAQ)

後遺障害7級の認定を受けられなかった場合、認定結果を覆す方法はある?

一般に「異議申立て」を検討します。ただし「納得できない」という主張だけでは結果は動きにくく、なぜ非該当・低等級になったのかを分析し、追加の検査結果や医師の意見書など新しい医学的根拠を出す必要があります。準備が重要なので、早めに弁護士へ相談するのが安全です。

後遺障害7級の認定後、事故前と同じように仕事ができるようになった場合でも、逸失利益を請求できることはありますか?

原則として請求は可能ですが、相手方(保険会社)が「収入が減っていない=損害がない」と争うことがあります。実務では、仕事内容の制限、将来の昇進・転職の不利、働き方の変更などを具体的に示して解決を図ります。「今の給与が維持できている」だけで終わらない場合があるのがポイントです。

夫が後遺障害7級になったら、妻の付添看護費や近親者慰謝料は請求できる?

付添費は、医師の指示や必要性が認められる場合に請求できる可能性があります。近親者慰謝料は、死亡や重度後遺障害(1級・2級など)で問題になりやすく、7級では原則ハードルが高いのが通常です。ただし、症状が極めて重く家族の負担が大きいなど、個別事情で検討余地が出ることもあります。

まとめ

後遺障害7級は、慰謝料・逸失利益を合わせた賠償総額が1,000万円を超えるケースもある等級です。認定基準(1号〜13号)や算定基準の違いを把握した上で、早めに専門家に相談することが、適正な解決への近道です。

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