M&Aで得た利益を投資する前に― 弁護士によるデューデリジェンスのすすめ
最終更新日:2025年9月2日
はじめに
「M&Aで得た利益を新しい投資に回したい」「紹介された案件だから安心だろう」──。こうした投資家の声を耳にすることは珍しくありません。
しかし、信用や期待だけを頼りに投資を決断すると、後に思わぬ落とし穴に直面する可能性があります。そのリスクを避けるために欠かせないのがデューデリジェンス(法務調査)です。
信用だけの投資は危険
投資は「信頼できる相手だから大丈夫」と思い込みがちですが、実際には契約書の細部や知的財産の権利関係など、専門家でなければ気づきにくいリスクが潜んでいます。
特にM&A後の資金を再投資するケースでは、規模が大きくなる分、失敗のダメージも甚大です。信用だけで判断するのではなく、必ず法的裏付けを確認することが重要です。
デューデリジェンスを怠ったときの落とし穴
カテゴリ | 落とし穴(抽象的リスク) |
---|---|
知的財産 | 特許・商標・著作権の有効性や権利範囲を過信し、事業の前提が崩れる危険 |
契約関係 | 取引先契約やライセンス契約の条件を見落とし、収益基盤が失われる危険 |
労務管理 | 未払残業や労務違反で突発的な債務を抱え、企業の健全性を損なう危険 |
行政規制・コンプラ | 許認可・法令遵守・反社対応の不備が発覚し、事業継続が困難になる危険 |
実際に起こり得る事例
特許が無効だったケース
最先端技術を有する企業に投資したものの、その特許は競合からの無効審判で取り消されていた。結果として「強み」が消滅し、事業計画が白紙に。投資資金の回収は困難となった。
契約解除で売上が消失したケース
大口顧客との契約書に「支配権変更条項」が盛り込まれており、投資先が買収されると同時に契約解除。売上の大半を失い、企業価値が一気に低下した。
労務トラブルで訴訟に発展したケース
労務調査を怠った結果、未払残業代と違法な長時間労働が発覚。従業員が一斉に訴訟を起こし、数千万円規模の支払い義務が発生した。
行政処分を受けたケース
許認可が必要な業種で、更新手続きを失念していたことが投資後に判明。行政処分で業務停止となり、投資した事業が立ち上がらなかった。
反社会的勢力との関係が露見したケース
投資先の取引先に反社会的勢力が関与していたことが発覚。金融機関から融資を止められ、投資回収がほぼ不可能になった。
弁護士に依頼するメリット
- 契約や規制の観点から、投資の実効性を判断できる
- 相場や業界の慣行を踏まえ、リスクに備えた交渉戦略を立てられる
- 万一トラブルに発展しても、調停・訴訟にスムーズに移行できる
- 投資家本人が見落としがちなポイントを、第三者の目でチェックできる
まとめ
- 投資を「信用」だけで決めることは大きなリスクにつながる
- デューデリジェンスを怠ると、特許・契約・労務・許認可・コンプライアンスなどで深刻な問題が発覚する可能性がある
- 弁護士に依頼すれば、調査から交渉、万一の紛争対応まで安心して任せられる
「この投資は本当に大丈夫か」と少しでも不安を感じたときこそ、デューデリジェンスの出番です。資産を守り、投資を成功に導くために、ぜひ一度専門家にご相談ください。
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