2025/05/27 解決事例・コラム
【離婚】専業主婦、財産はもらえる?財産分与の仕組みを弁護士がやさしく解説
離婚を考えたとき、専業主婦の方が真っ先に不安を感じるのが「お金」の問題ではないでしょうか。中でも、離婚後の生活を支える重要な制度が「財産分与」です。
本記事では、専業主婦が離婚時に知っておきたい財産分与の基本から、富裕層に多い特殊な財産の分与問題、そして生活資金の確保まで、分かりやすく解説します。
Q1. そもそも「財産分与」とはどのような手続きですか?
A. 財産分与とは、夫婦が結婚してから築いてきた財産を離婚時に公平に分け合う法的な手続きです。
婚姻中に協力して形成した財産を「共有財産」といい、これが分与の対象になります。一方で、結婚前から持っていた財産や、相続・贈与によって得た財産は「特有財産」として原則として分与の対象にはなりません。
具体的には、共有財産には以下のようなものが含まれます:
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婚姻後に購入した不動産
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共同の預貯金
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年金分割対象の厚生年金
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株式や投資信託などの金融資産
専業主婦の方にとって財産分与は、家事・育児といった無償労働への「法的な評価」といえる大切な場面です。収入がないからといって諦める必要はありません。
Q2. 富裕層世帯での財産分与は何が違うのですか?
A. 保有する資産の種類と評価方法の複雑さが大きく異なります。
富裕層世帯では、以下のような一般家庭では見られにくい資産が共有財産に含まれてくることがあります。
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ストック・オプション(株式購入権)
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RSU(譲渡制限付き株式)
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仮想通貨(ビットコインなど)
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高額な絵画・美術品・宝飾品
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航空機・クルーザー等の高級動産
このような資産は、単純に「時価」で評価できないケースも多く、専門的な評価知識が必要となります。ストック・オプションのように「行使条件」「付与タイミング」が複雑なものは、どの部分が共有財産に該当するのかを慎重に見極める必要があります。
弊所でも、こうした特殊資産を巡る財産分与のご相談を多く受けており、適切な評価・分割方法の検討を重ねてきた実績があります。
Q3. 夫に全ての財産名義があるのですが、私に請求する権利はありますか?
A. はい、名義が誰であっても、共有財産であれば請求できます。
名義が夫であっても、婚姻期間中に形成された財産であれば、それは夫婦の「共有財産」と見なされます。名義に惑わされることなく、正当に請求していくことができます。
Q4. 財産分与はすべて「2分の1」で分けるのでしょうか?
A. 原則として2分の1が基本ですが、事情によって割合が調整されることもあります。
「2分の1ルール」とは、夫婦が婚姻中に築いた共有財産を半分ずつ分け合うという原則ですが、必ずしも機械的に半分ずつとは限りません。
たとえば、夫婦の一方に特殊な技能や経営者としての貢献があった場合、または財産形成の大部分がその人の努力に依存していた場合などは、「寄与度」が加味されて割合が変動することもあります。
とはいえ、専業主婦であっても家事労働などを通じて家庭を支えてきたことは明確な貢献です。適正な割合での分与を実現するためには、法的な主張を的確に行う必要があるため、早期に弁護士へ相談されることをおすすめします。
まとめ:財産分与は「生活の再スタート」のための大切な手続きです
財産分与は、単なる「お金の分け合い」ではなく、新しい生活を始めるための第一歩です。とくに専業主婦の方にとっては、自分の人生を取り戻すための重要な制度ともいえるでしょう。名義や収入の有無にとらわれず、正当な権利を主張することが大切です。
弊所では、初回30分無料相談を実施しております。ぜひお気軽にご相談ください。
※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。