2026/04/05 解決事例・コラム
相続とは何か|民法が定める相続の意義・開始・効果をわかりやすく解説
相続とは何か|民法が定める相続の意義・開始・効果をわかりやすく解説
「相続」という言葉は耳にしたことがあっても、法律上どんな意味を持つのか、いつ始まり、何を引き継ぐのかは、意外と知られていません。相続税の仕組みを理解するためには、まず民法が定める相続の基本を押さえることが出発点です。このコラムでは、相続の意義・開始のタイミング・引き継ぐものの範囲・申告先の税務署まで、一般の方にわかりやすくお伝えします。
1 相続とは何か――被相続人と相続人
「相続」とは、個人が亡くなった場合に、その人が持っていた財産上の権利や義務を、配偶者・子など一定の身分関係にある人に引き継がせる制度です。
財産を引き継がせる側(亡くなった方)を「被相続人」、引き継ぐ側を「相続人」といいます。相続とはひと言でいえば、被相続人から相続人への財産上の権利・義務の承継です。
このセクションのポイント
- 相続=亡くなった方(被相続人)の権利・義務を一定の親族(相続人)が引き継ぐ制度
- 「被相続人」は引き継がせる側、「相続人」は引き継ぐ側
- 権利だけでなく「義務(債務)」も承継の対象になる
2 相続はいつ始まるのか――死亡と失踪宣告
相続は、被相続人の死亡によって自動的に始まります(民法882条)。手続きは一切不要で、相続人がその死亡を知っているかどうかも関係ありません。亡くなった瞬間に、相続人は被相続人の財産上の権利と義務を当然に引き継ぐことになります。
ここでいう「死亡」には、自然の死亡だけでなく、失踪宣告によって法律上「死亡したもの」とみなされる場合も含まれます。
失踪宣告とは、長期間にわたって生死がわからない状態が続くとき、家庭裁判所が法律上「死亡したもの」とみなす制度です(民法30条・31条)。行方不明が7年以上続く場合(普通失踪)と、災害・事故などの危難後に1年以上生死不明が続く場合(危難失踪)の2種類があります。失踪宣告がされると相続が開始し、財産の承継手続きを進めることができます。
裁判所による手続きの概要は、裁判所ウェブサイト「失踪宣告」でご確認いただけます。
このセクションのポイント
- 相続の開始=死亡の瞬間。相続人が知っているかどうかは無関係
- 自然の死亡のほか、失踪宣告による「みなし死亡」も含まれる
- 失踪宣告は普通失踪(7年)と危難失踪(1年)の2種類
3 相続で何を引き継ぐのか――プラスとマイナス
相続が始まると、相続人はその時点から被相続人の財産に属する一切の権利と義務を引き継ぎます(民法896条)。
重要なのは、プラスの財産(預貯金・不動産など)だけでなく、マイナスの財産(借金・保証債務など)も引き継ぐという点です。相続のメリットだけを受け取る、ということは原則としてできません。
ただし、被相続人の個人的な資格や特定の立場に結びついた権利・義務(一身専属権)は、引き継ぎの対象外です。
一身専属権の具体例
「一身専属権」とは、その人だけが持ち、他の人には移せない権利・義務のことです。たとえば次のものが該当します。
引き継げないもの(一身専属権の例)
- 税理士・医師・弁護士などの国家資格
- 年金受給権(老齢年金・障害年金など)
- 身元保証人としての保証債務
- 相続による譲渡が禁止されているゴルフ会員権(契約による制限)
4 相続はどこで始まるのか――住所地と税務署の関係
民法では、相続は被相続人が最後に住んでいた住所(住所地)において開始すると定めています(民法883条)。この住所地が基準となり、相続に関する裁判や審判手続きの管轄が決まります。
相続税の申告でも、この「住所地」が重要な意味を持ちます。相続税の申告書は、被相続人が亡くなった時点の住所地を管轄する税務署に提出します(相続税法附則3条)。相続人自身がどこに住んでいるかは関係ありません。たとえば、相続人が北海道に住んでいても、被相続人の最後の住所地が東京であれば、東京の税務署への申告が必要です。
このセクションのポイント
- 相続は被相続人の最後の「住所地」で開始する
- 相続税の申告先も、被相続人の住所地を管轄する税務署
- 相続人自身の住所地ではない点に注意が必要
5 よくある質問(FAQ)
親が亡くなったのですが、まず何から確認すればよいですか?
まずは、遺言書の有無、相続人が誰になるのか、預貯金・不動産・借金などの財産状況を確認することが重要です。相続は、被相続人の死亡によって自動的に開始するため、何もしなくても法律上の問題は動き始めます。特に、借金の有無が不明な場合や、親族間で話合いがまとまるか不安がある場合には、早めに弁護士へ相談することで、必要な調査や今後の進め方を整理しやすくなります。
亡くなった家族に借金があるかもしれません。預金や不動産だけ受け取って、借金は引き継がないことはできますか?
原則として、相続では預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も引き継ぐことになります。そのため、都合のよい財産だけを選んで相続し、借金だけを引き継がないということは基本的にできません。負債が多いおそれがある場合には、相続放棄などの対応を検討すべき場面もあるため、財産調査を含めて早めに弁護士へ相談することが重要です。
相続税の申告や相続手続は、どこの専門家に相談すればよいですか?
相続では、相続人の調査、遺産分割、相続放棄の検討、相続税申告など、問題の内容によって関わる専門家が異なります。たとえば、相続人間で争いがある場合や法的な見通しを整理したい場合は弁護士への相談が適していますし、相続税の申告や税額計算が問題となる場合は税理士への相談が必要です。どこに相談すべきか迷う場合でも、まず弁護士に相談すれば、事案に応じて必要な専門家との連携も含めて進め方を検討できます。
まとめ
相続とは、亡くなった方(被相続人)の財産上の権利と義務を、配偶者や子など一定の親族(相続人)が引き継ぐ制度です。相続は死亡の瞬間に自動的に始まり、プラスの財産だけでなく借金などマイナスの財産も承継の対象となります。また、相続税の申告先は相続人の住所地ではなく、被相続人の最後の住所地を管轄する税務署です。
具体的な手続きや税額の計算については、早めに専門家へご相談ください。
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