解決事例・コラム

2025/09/23 解決事例・コラム

AI導入で企業が直面する法的リスク―弁護士に相談すべき理由をわかりやすく解説

AI新法と企業法務―AI導入を進める企業が知っておくべきこと

最終更新日:2025年9月17日

はじめに

ここ数年、生成AIや機械学習をはじめとした人工知能技術は、急速に社会に広がりつつあります。業務効率化や新サービスの創出といったメリットが期待される一方で、著作権や個人情報保護、説明責任などの法的課題も浮上しています。

こうした中で、日本でも「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(以下「AI新法」)が成立しました。本コラムでは、AI新法の概要と企業への影響、AI導入に潜むリスク、そして弁護士に相談する重要性について解説します。

AI新法が施行―今後の企業法務への影響

AI新法は、AI技術を国の経済や社会を支える基盤と位置づけ、その研究開発と活用を推進するために制定されました。

特徴的なのは、この法律が「今後のAI技術に対する国の方針を示すための法律」として作られている点です。つまり、すぐに企業に対して直接的な義務や罰則が課されるわけではなく、国の基本方針を示すものです。

ただし、ここで示された「国や地方公共団体が施策を打ち出し、企業はこれに協力すべき」という枠組みは重要です。今後、AI新法を土台に具体的なガイドラインや新しい規制が順次整備されることが想定され、企業法務に影響が及んでいくのは確実といえます。

AI新法について

AI新法の大きなポイントは次の二つです。

・理念法であるため、ただちに強制力のある規制が企業に及ぶことは少ない

・将来的に、国や自治体がAI施策を打ち出し、企業がこれに協力することが前提とされている

現段階で直接的な負担は大きくありませんが、これからの企業活動に少しずつ影響が広がる可能性が高い法律です。

AI導入に潜むリスク

日本では、AIの導入にあたって一つの法律だけで対応するのではなく、問題ごとに既存の関連法を適用して対応しています。たとえAI新法が制定されたとしても、この仕組み自体は変わらず、今後も関連する法令が増えていくと見込まれます。その結果、企業が規制の全体像を把握するのは困難になると考えられます。

なお、この点については内閣府によるAI 戦略会議・AI 制度研究会による中間とりまとめによって詳しく解説されていますので、こちらも併せてご確認ください。

弁護士に相談するメリット

こうした複雑な状況下で有効なのが、AI分野に明るい弁護士に相談することです。弁護士であれば、常に最新の法令やガイドライン、国際的な規範を踏まえたうえで、企業の実態に即した助言を提供できます。

「どの法律に注意すべきか」「社内規程や契約書に何を盛り込むべきか」といった具体的な疑問に対しても、根拠あるアドバイスを得られるのは大きな安心材料です。

顧問契約を結ぶ利点

スポット相談だけでも有用ですが、顧問契約を結ぶことでより包括的なサポートを受けられます。

  • 起きてしまったトラブルへの迅速な対応
  • 今後の法令整備や国際規範の動向を踏まえたリスクマネジメント
  • 契約書やプライバシーポリシー、利用規約などの継続的なリーガルチェック
  • 社内体制の整備や従業員教育の支援

顧問弁護士は「万一のときの対応窓口」であると同時に、「将来の変化を見越した経営パートナー」としても機能します。

まとめ

AI新法は現段階では今後のAI技術に対する国の方針を示すための法律であり、企業に直ちに強制的な規制を課すものではありません。しかし、今後国や自治体が具体的な施策を打ち出すことで、企業活動に大きな影響が及ぶことは避けられません。加えて、すでに著作権法や個人情報保護法など、AI技術に関連する既存の法律は複数存在しています。

AI導入を進める企業にとっては、これら複雑な法規制を自力で把握するのは難しく、専門家の助けが不可欠です。弊所では、法律だけでなく、AI技術に対しても知見を有する弁護士が在籍しております。AI技術に関する法務についてお困りのことがございましたらぜひご相談ください。

なお、この記事は公開日時点の法令に基づいて作成されています。

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